第27話

「力の覚醒」

「さぁ青龍よ、死にたくなければ剣を抜け」
スピーカーから暗黒竜の挑発するような声がする。
だが、孝太郎は抜刀することなく、襲ってきた相手を烈火の乱れ舞で一撃づつ当ててあちこちに吹っ飛ばした。
だが、吹っ飛んだ相手はかなりのダメージを受けたのに平然と起き上がって襲い掛かってくる。
このままではきりがないと思い、数を少しでも多く減らすために襲ってきた連中の一人に彗星拳を当てて吹っ飛ばした。
ほとんどの連中は吹っ飛んでいった。だが、さっきまでのようになんのダメージもなかったかのように立ち上がって襲い掛かってきた。
(一体何なんだこいつらは!?)
そう思いながらも攻撃を繰り出して吹っ飛ばしていく。
そうしているうちに後ろから捕まえられ、同時に前にいた相手から顔にパンチを食らわされた。
だが、瞬時に気を張って防いだため、ダメージはないようなものだった。
パンチを食らわせた相手を蹴りで吹っ飛ばし、後ろで掴んでいる相手にも肘打ちで体制を崩させて踵蹴りを当てた。
孝太郎は一人づつ確実に倒していたが、それでも相手は襲い掛かってくる。パンチや蹴りはもちろんのこと、合気道のように受け流して地面に叩きつけたり、捕まえた相手をジャイアントスイングで吹っ飛ばして何人かを巻き添えにしたりしても相手は怯むことなく襲い掛かってくる。
そんな中で孝太郎はまた右腕全体に気を集めた。
「同じ技が効くと思うのか?その技は真後ろには全く効果がない。当てたときに残りの気がバリアの役割をして自分は無傷なのが裏目に出たな」
スピーカーから暗黒竜の声が聞こえる。だが、孝太郎は気を集めるのを止めなかった。
「お前は彗星拳の原理を本当の意味で理解したのか?」
孝太郎が聞くと、連中の動きが止まった。
「なに?」
「彗星拳の衝撃が広がる範囲は、ストレートを放った方向と反対の斜め方向から330度ぐらいの範囲に広がるんだ」
「何が言いたい?」
「実際にやってやる。じっくり高見の見物でもしてな」
孝太郎が言うと、連中の一人が真上から襲い掛かった。孝太郎は最初からそれをわかってたかのように右のストレートを真上に伸ばした。
「これが答えだ!!」
当たった瞬間、衝撃は全体に広がり、周りにいた全員を吹っ飛ばした。しかも真・彗星拳と同じぐらいの威力があったため、範囲もかなりあった。
「な!?」
暗黒竜は驚いた。しばらくの間、砂煙が舞っていたが、それがなくなると、孝太郎が立っているところを頂上にするかのように浅く地面が掘られて山になっていた。
しかも上空を飛んでいたヘリコプターもバランスを崩して墜落しそうになったが、なんとかバランスを保った。

「孝太郎さん、危ないよぉ」
仁美の家で家族全員で見ていた英次が言う。だが…。
「先ほどの衝撃でヘリがかなり揺れたみたいです。ですが、会場の上空を飛んでいるヘリは遠隔操作で動かしている無人ヘリのため、墜落しても死者は出ませんのご安心ください」
この実況が入って英次たちは安心する。英次たちだけでなく見ていた人はみんな安心しただろう。

ちなみに、この番組を放送する少し前に「これは生放送のように見えますが、あくまで映画ですので、絶対に真似しないでください。それと、かなり残酷なシーンや台詞が入りますので、小さなお子様には見せないようにお願いします」という警告が放送する数分前から出ていた。
しかもテレビがいっぱい置いてある電気店などでは放送されていない。
おまけにカメラの拡大、縮小などもやっておらず、少し遠くから見ているような感じでしか映していない。
全ては子供たちの先のことを考えてのことだろう。
映画のタイトルが「ツインドラゴン」なのは余談だ。

(なるほど。ヘリから人の気配がなかったのはそれが理由だったのか…しかもこれを映画として放送するとは…)
孝太郎は先ほどの内容を聞いてずっと疑問だったことに納得した。
テレビからの放送は、スタジアムのモニターにも写されており、内容も丸聞こえだった。
「我々がここにいる目的を君は知ってるのか?」
連中の一人が起き上がって孝太郎に聞いた。
「目的?」
「我々は君が来ることをずっと願っていた。理由はただ一つ。君を生かして帰さないため」
一人が正面に立ち、説明している間に他の連中も立ち上がって孝太郎を取り囲むように立っていた。
「そのためなら、我々は手段を選ばない」
「たとえ相打ちになろうとも、君を消すことが出来ればそれでいい」
「我々は暗黒竜のために戦い、暗黒竜のために死ぬ」
「それが…我々の全てだからだ。そして、君の死は“必然”だ」
一人づつ言いながら間を詰める。
「君には消えてもらう。君の内にいる龍が目を覚まし、“蒼天に舞う青い龍”になる前に…」
正面に立った男が孝太郎にストレートを放ったが、当たる直前に孝太郎は腕を掴んだ。
「言うことはそれだけか?」
「なに?」
「ならば俺も、お前らを倒すためなら、手段を選ばない修羅になるしかないみたいだな」
孝太郎は言いながら青い炎のようなオーラを纏い、掴んでいた手に力を少し入れてジャイアントスイングで周りの連中を倒したあと、回転力を利用して放り投げ、壁に激突させた。
「っく、まだまだ…」
壁に激突した男は首を横に小さく振って立ち上がり、孝太郎にダッシュで襲い掛かった。
それを合図するかのようにまた大勢の男たちが襲い掛かる。
だが、それまでと違うものがあった。孝太郎の一撃の威力である。
吹っ飛ぶことに変わりはなかったが、さっきまでと違い、壁に激突する連中がいっぱいいた。それも吹っ飛ぶ方向にいた連中を巻き添えにして…。
激突するどころか、中には壁にめり込んだものもいた。
「っく…何なんだ?さっきと全然違う」
一人が痛みをこらえながら立ち上がると、孝太郎が語りだした。
「手遅れだったな。俺の内側に宿る、伝説に謳われた青龍は、すでに目を覚ましたんだ!」
『な、なに!!?』

「ま、まさか…あのとき感じた強大な気配は…」
翔が驚きながら言った。

「そういうことじゃったのか…」
京都でお茶を飲みながらテレビを見ていた春江も呟いた。

あのときというのは、孝太郎と英次が激戦を行い、壁の修理をしていたときのこと。
一瞬だったが、強大で純粋な気配を感じ、みんなは硬直した。
そのとき、孝太郎の夢の中では未柚との再開の後にこんなことが起きていた。

「未柚とは、ずっと一緒だから…また会う日まで…さようなら…!」
呟いた後、孝太郎の中で何かが大きく鼓動を打ったのだが、暴走したときとは違い、意識がはっきりしていた。
「これは…う…何だこれは!?」
体が勝手に動き、少しかがんで両腕を広げて全身から気を集め、広げていた両手首を重ね、両掌から気を太陽を覆い隠す星めがけて一気に放出した。
星は放たれた気が当たったときに爆発を起こし、太陽の光が差し込んだ。風が吹いて霧が晴れ、空は雲ひとつない晴天になり、足元は砂浜で、海は汚れ一つないきれいな水だった。
「一体…何が…?」
『お前の心の傷は完全に癒された』
謎の声が直接頭に語りかける。
『我はお前の内に眠っていた青龍。このときが来るのをずっと待っていた』
龍は孝太郎の胸の部分から外に出てくる。それはまさに、伝説の獣と言われた風水の四神の青龍のようだった。
『我が目覚める予兆は過ぎ、そして今こうして目覚めた。我が力の全てをお前に託そう』
そう言って龍は孝太郎の中に入っていった。
「…この力は…暗黒竜…お前との決戦も近づいてるようだな…俺は絶対にお前を倒す」

「くっ…手遅れだったのか」
暗黒竜の皮肉な声がスピーカーから聞こえた。
「怪我人を乗せた軍用機もここから離れたみたいだし、お前ら以外に影響はなさそうだな」
「何を言ってるんだ!?」
連中の一人が聞く。
「お前らをこのスタジアムごと吹っ飛ばしても、被害はあまり出ないってことさ」
そう言いながら、全身からかなりの気を集める。
無人ヘリコプターは危険を察知したのか、非常用に装着させたジェットエンジンでその場から逃げるように遠くへ飛んでいった。
「貴様!自分のやろうとしてることがわかってるのか!?」
「わかってるさ。お前らを倒すにはこれしか他にないってことがな」
孝太郎が集めた気は巨大な業火のようになり、両腕をクロスさせた。
「これでみんな吹っ飛ばしてやる!禁断の技、彗星拳奥技!!超新星大爆発(ちょうしんせいだいばくはつ)!!!」
そう言いながらクロスさせた腕をゆっくりと頭上に持っていって一気に広げ、同時に集めた気を一気に開放して大爆発を起こした。
うわあああああああああ!!!!!!
周りにいた連中はその爆発に巻き込まれて叫び声を上げながら吹っ飛ぶ。

<まさか、シェンロンでさえも使うことを恐れていた禁断の奥技を…やはり、あの場では使うしかないのか>
中国でテレビを見ていた虎王が驚きながら言った。
<ランロン…せめて大会に行く前に、本当のことを教えてほしかった…>
ライヤは呟いたが、それは誰にも聞こえなかった。

会場はしばらく爆発の光と砂煙で何も見えなかったが、どこからか吹いてきた風で洗い流されるように飛んでいき、周りが見えるようになった。
「げほ、げほ…な、何だ…今のは…!!!」
暗黒竜は地面に横たわっており、咳をしながら体を起こして周りを見ると、自分が立っている地面以外何もなかった。
「あの爆発の中でも生きてたか…なかなかのしぶとさだな」
「っく…スタジアムまでも吹っ飛ばしたのか…何て威力だ…」
そう言いながらよろよろと立ち上がる。無人ヘリコプターも戻ってきていた。

テレビ越しに見ていたみんなは驚いた。そこは二人が立っている陸地以外何もなかったからだ。
「一つ聞こう。修行中に師匠に心が邪気に満ちていたのを見抜かれて破門を言い渡され、その後かなり強くなったのに、なぜ師匠を殺した?」
立っているのもやっとの状態の暗黒竜に孝太郎が聞いた。

これを無人ヘリコプターを通じて聞いたライヤが驚く。
「ランロン…どうして何も言わなかったの!?あのとき本当のことを言ってくれたらあんなことにならなかったのに…」

「そのことか…あのクソジジイめ、俺を破門にしただけで飽き足らず、拳法の継承者をお前にすると言ったからだ。あの時はもう俺のほうが格段に強かったのに言うことを聞かなかったからお仕置きをしてやったんだ」
「たとえそんなことをしなくても、師匠はあの時既に病に侵されてて、近いうちにこの世を去る運命にあったんだ!それなのになぜ…」
孝太郎は怒りをこらえるのがやっとだった。
「ふっ、決まってるだろ。病死されたんじゃぁ俺の中にある恨みは晴れない。だからこそ殺して恨みを晴らしたんだ…ぐあ!!」
暗黒竜が不適に笑って言うと、孝太郎は怒りのままに暗黒竜の頬に思いっきりパンチを食らわせた。
「そんなくだらない理由のために、人を殺したのか!!」
「何とでも言えばいい。それに他人がどうなろうと知ったことじゃない。俺は自分のために行動してるだけだからな」
孝太郎は頬に強烈な一撃を食らった状態でも不敵に笑って言う暗黒竜の胸倉を掴んだ。
「どうやらお前には人としての心は少しもないみたいだな。お前の欲望のために死んでいった人たちの苦しみ、俺が思いっきりその体に叩き込んでやる!!」
そう言って手を離した直後に烈火の乱れ舞を繰り出す。
最初は当たっていたが、そのうちに掌に受け止められた。
「お前の怒りはこんなものか」
「まだまだ。こんなものじゃないぜ!」
不適に笑い続ける暗黒竜に孝太郎は両掌を当ててすぐに両手足に集めていた気を右手に集めた。その際に左手は右の手首を掴んでいる。
そして、放った技が真・彗星拳だった。その間、わずか3秒!
「な!!?」
暗黒竜の表情は驚きに変わり、とっさに防御体制をとったが、ダメージはかなり受けた。

「な!?どうやってあんなことを!?」
テレビを見ていた律子が驚く。
「烈火の乱れ舞のために集めてた両手足の気と闘気と怒りを右手に集めて、右手首を掴んだ左手からも真・彗星拳を繰り出すために必要な量の気を集めたんだよ。気孔術でこんなに有効な手はないよ。それもあんなに短い時間であんなことをするなんて…」
英次が説明した。律子だけでなく、仁美たちも驚いた。

「こ、この野郎…」
暗黒竜は10メートルほど吹っ飛んた先で苦しそうに横たわっていた。
「どうした?あれほど挑戦的だったのにいざとなると被害者面するのか?…!」
孝太郎はゆっくりと歩み寄りながら言ったが、あと3メートルほどというところで何かに気付いて立ち止まった。
「右手の甲に竜の字がない。まさかお前…あいつの影武者か!?」
「よ、よくわかったな…だが、本物の顔は俺も見たことがないからわからない…ぐあ!!!」
影武者が説明している最中にその背中から刀が刺さり、いつの間にか男が立っていた。
「もう少し役に立つかと思ったが、それもここまでか…役立たずに用はない。蒼天に舞う青い龍、お前を倒すことが出来ればな…」
影武者の後ろに立っていた男が刀を一度抜き、それを振り回して首を切り落とした。
「まさか…お前から感じる黒い竜のような気は…」
「そうだ。俺こそが本物の暗黒竜、本名は黒田竜雅。2年ぶりだな。海原孝太郎」
孝太郎の呟きに本物の暗黒竜が答えた。
「禁断の奥技で部下たちを跡形もなく吹っ飛ばし、影武者をあそこまで追い詰めるとは…だが、ここまでだ!黒竜拳(こくりゅうけん)!!」
そう言って真っ黒な気を利き腕である左手に集め、孝太郎にめがけてストレートを放った。
孝太郎は何とか気を張って防いだが、かなりの威力だった。
「っく…何だこれは…気が吸い取られていくみたいに…侵食されてるのか!?」
『逃げろ!!これ以上は危険だ!!』
孝太郎の内にいる龍が叫んだ。だが、既に孝太郎が張った気は完全に侵食され、ついには腹にアッパーを食らってしまった。
「ぐああああ!!!」
孝太郎は叫びを上げながら高く吹っ飛ばされ、10メートルほど離れたところで地面に叩きつけられた。
「ぐっ…っく…」
うつぶせになって苦しんでいる孝太郎に誰かが駆け寄り、そっと仰向けにさせた。手の感触から女性のようだ。
「大丈夫!?しっかりして!」
聞きなれた声にうっすらと目をあけると、そこにいたのは…。
「さ…沙…羅…ど、どうし、て…」
「けが人を運ぶ人たちに頼んでここに残らせてもらったの。さっきの爆発は地面に穴を掘って隠れたから助かったの」
「は、はや、く、逃げ、ろ…うっ!」
孝太郎が必死に沙羅に逃げるように言うと、歩み寄ってきた暗黒竜に胸倉を掴まれた。
「そんな状態でも他人の命を守ろうとするのか。それがお前の甘さだ」
そう言って孝太郎を遠くへ放り投げる。沙羅はただ唖然とするしかなかった。
「今度はお前の番だ。寂しくないように二人ともあの世に送ってやる。へっへっへっへ!」
そう言って空に向かって不気味に笑う。そんな中で沙羅は俯いた状態でおもむろに立ち上がった。
「…よくも…」
沙羅の低めの呟きに暗黒竜の笑いは小さくなっていく。
「な、何だ?」
笑いが完全に止まり、いつの間にか両手を握っていた沙羅から感じる違和感にうろたえた。
「…よくも…彼を…」
俯いた状態のままで呟く沙羅に闘気が集まっていく。
「そ、そんな馬鹿な!」
暗黒竜は震えながらも沙羅にストレートを放ったが、掌に受け止められた。
「よくも!私の愛しい彼を!!」
そう言いながら顔を上げる。その表情に暗黒竜は腰を抜かしそうになった。沙羅は殺意が込められた、今まで見たことがない恐ろしい形相で睨んだからだ。
「さ、沙羅…?」
仰向けになっていた孝太郎は何とかして目を開けた。孝太郎も暗黒竜と同様にうろたえた。
『そのままじっとしてて』
孝太郎の頭に沙羅の声が直接入っていく。その後、孝太郎の体は緩やかな水の流れに乗ったような感じになっていた。
(何だこれは?まるで傷と疲れが癒されていくみたいに)
『気孔治癒術の水流癒(すいりゅうゆ)よ。その流れに身を任せてじっとしてて』
(でも、どうしてこんなことが…?)
「どうやら内側に眠る力が怒りで目覚めたみたいだな。だが、俺の目的は青龍を殺すことだ」
暗黒竜はそう言って孝太郎に駆け寄る。そして、持っていた刀でとどめを刺そうとしたが、いつの間にか横に立っていた沙羅に驚いた。
「彼は殺させない!」
そう言って暗黒竜の腹に蹴りを当てて吹っ飛ばした。
「ぐっ!…あのほっそりした体で何て威力の攻撃をするんだ!?」
「彼は今まで自分の危険を顧みずに私を守ってくれた。今度は私が彼を守る番よ!」
そう言って沙羅はダッシュで間を詰め、手足を使った連続攻撃を繰り出した。
「っく…まだまだ。この黒竜刀で切り裂いてやる」
ダメージを受けながら何とかして刀を取り出す。影武者を刺したときは気付かなかったが、その刀の刀身は黒光りしていた。
「それは…」
「そうさ。京都での合宿のとき、海原が持っていたのを知って手下どもに盗ませた刀だ」
沙羅の呟きに暗黒竜は自慢げに答えた。
「だが、お前は約束を守らず、用済みになった手下を殺した…そういうことだろ?」
孝太郎が聞いた。沙羅の気孔術で喋る余裕ができたみたいだ。
「そのとおりだ。引っ掛けるのは簡単だったぜ。この竜の牙が手に入れば、あとはどうでもいいからな」
暗黒竜は不適に笑った。
「それはあのとき、旅館に殴りこんだ連中の一人から奪った偽物。本物はこっちだ」
いつの間にか孝太郎が沙羅の横に立っていた。
「な、偽物だと!?」
驚く暗黒竜をよそに、孝太郎は鯉口に巻かれていたボロ布を解いて刀を鞘から抜いた。
「本物は青龍の力を受け継いだものにしか使えない。それがこの龍の牙。またの名を、青龍の剣(せいりゅうのつるぎ)」
孝太郎が鞘から抜いた刀の刀身は青く光っており、刀身の根元の部分には「龍」の字が刻まれていた。
「え!?五郎入道正宗じゃなかったの!?」
沙羅は驚いて聞いた。
「あれには青龍の牙の精製方が書き記されてただけだったんだ」
「青龍の力…あのジジィめ…すでにお前に力を託してたのか…あの伝説は、何としてでも終わらせなければ…」
「1000年以上語り継がれた伝説は、簡単に終わったりはしない」

「あの伝説を…孝太郎は受け継いでいたのか…」
翔は何気なく呟き、それを聞いた恭平が聞いた。
「あの伝説って?」
「詳しくはこの本を見てください」
そう言いながら一冊の本を取り出す。そして、修学旅行での出来事を語った。


<あとがき>
次々と襲い掛かる暗黒竜の部下たち。
そんな中ではっきりした彗星拳の原理。
そして、二つ目の禁断の技の炸裂。
怒りによって目覚めた沙羅の力。
そして、牙の正体と正宗に隠された真実。
次回、孝太郎の内側に眠る龍についての伝説が明らかに。
今回はここまでです。
短文ですが、以上です。

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