第40話

「二人の夜」

「本当にどうしたの?」
沙羅は孝太郎の右腕にそっと触れながら聞いた。
「俺の元気がないのは、いつものことだろ?」
孝太郎は時々、一人になって黄昏ていることがある。それは沙羅も知ってるのだが…。
「それはそうだけど、いつもと何か違うような気がして…」
「いつもと違う、か…確かにそうかもしれないな」
孝太郎自身もわかっていた。その原因も…。
「時々、物思いに耽ることがあるんだ」
沙羅は黙って話を聞いた。
「小学校のときに母さんがいなくなって、それからしばらくして未柚もいなくなって…その頃、それを思い出しては泣く日々を送ってたんだ」
学校にいるときはそうでもなかったが、家に帰って一人になると、誰もいない孤独感と大切な人を亡くした悲しさが同時に孝太郎の心を支配していき、孝太郎はそれに耐え切れなくなって涙を流していた。
「そうしているうちに、いつの間にか一人でいることを気楽に感じるようになって…それが原因でずっと一人で生きるって決めたんだ。でも、結局はこうして沙羅と一緒に…」
そう言いながら沙羅に体ごと振り向く。それを見た沙羅はもう片方の腕で孝太郎の左腕に触れ、そっと抱き寄せた。
「寂しかったのね…でも、もう一人にはさせないから…」
言いながら孝太郎の頭を優しく撫でる。
「本当は、誰かに側にいて欲しかったのかも知れない。だけど、あの時のように失うのが怖くて…孤独を求めたのは、怖さからの裏返しみたいなものだったのかもしれない」
そう言いながら沙羅の背中に両腕を回した。
「あなたは一人じゃない。私が側にいるから」
孝太郎は沙羅の暖かさに浸るように静かに目を閉じた。
少しして体を離し、お互いに目を合わせているときに沙羅はゆっくりと顔を近づけてゆっくりと孝太郎の唇を塞いだ。
いつもはほんの少しだけ抵抗する孝太郎だったが、今は何の抵抗もなく受け入れた。
しばらくして唇が離れ、沙羅は孝太郎の耳元で呟いた。
「…愛してるわ…あなた…」
「沙羅…」
「あなたの妻になら、喜んでなってあげる。守護豹が、適わぬ恋だと知りながら青龍に想いを寄せたように…」
「(意味が違うような…)青龍と守護豹か…いつかまた会うときが来るだろうな…あ、そう言えば」
孝太郎はふと思い出して沙羅を自分の部屋に連れて行った。
「沙羅にはいつか見せなきゃいけないと思ってた。これを…」
そういって孝太郎が机の引き出しから出したのは、小学生の頃の孝太郎と未柚が写っている写真だった。
「この写真を見るたびに、「もし願いが叶うのなら、もう一度会いたい…声が聞きたい」って思いながら泣いてたんだ。今はそんなことはないけど…駄目だよな。こうして沙羅と一緒にいるのに、まだ持ってるなんてさ」
孝太郎は俯き加減で語ったが、沙羅は意外な返事をした。
「…知ってたよ」
「え!?」
沙羅の呟きに孝太郎は驚いた。
「私も、言おうと思ってたんだけどね。実は去年、孝太郎君が風邪を引いて寝てたときに、悪いと思いながらも引き出しの中を見たの。そしたら、その写真が…。でも、見てしまったことを言えなかった。孝太郎君の思い出を何もかもなくしてしまうんじゃないかって思うと怖くて…でも、今はこうして話してくれた」
「沙羅…」
「その写真、捨てちゃ駄目よ」
「え?」
「孝太郎君の隣に未柚さんがいたことを証明するものだから。でも残念だなぁ。知り合ってたら、いい友達になってた気がするの」
沙羅は言いながら写真を手にとって引き出しに閉まった。
「そうか…」
一言呟いて時計を見ると、11時を過ぎていた。
「もうこんな時間か。そろそろ寝るか」
そう言って布団を用意して寝る準備をした。が、沙羅がそれを見て部屋から出て行ったと思うと、しばらくしてパジャマに着替えて枕を持って戻ってきた。
「まさか…」
「今夜は一緒に寝ようよ」
そう言って孝太郎の枕を横に動かし、持っていた枕を横に置いて布団に入った。
孝太郎は何の前触れもない沙羅の行動に苦笑するばかりであった。
沙羅は孝太郎の腕を引っ張って横に寝かせ、掛け布団を肩の部分まで持ってきた。
「久しぶりね。こうして一緒に寝るのって」
「久しぶりっていうほど空いてないと思うぜ?この間がそうだったんじゃないか?」
「あ、そうだったわね」
お互いに微笑んでいた。
「沙羅と出会ってなかったら、俺は今でも一人だっただろうな(それとも、暗黒竜との決戦で…)」
そう呟いた孝太郎の目はどこか遠くを見ているような感じだった。
沙羅はしばらく何も言わなかったが、やがて口を開いた。
「ねぇ」
「ん?」
「私と会えて、よかった?」
沙羅は孝太郎の腕にそっと触れて聞いた。
「会えてよかった…今は本気でそう思ってる。物心ついて間もない頃の、母さんの腕の中にいたときの暖かさはもう感じることは出来ない…未柚と過ごした頃の楽しかった日々はもうやってこないって諦めてたからな…。けど、まさかまたやってくるなんて…」
そう言いながら、腕に触れている沙羅の手に自分の手を重ね、しばらくして沙羅を抱き寄せた。
「…ありがとう…凄く嬉しかった」
「うん…」
沙羅は一言だけ言って孝太郎の背中に両腕を回した。

そうして、二人はいつの間にか眠っていた。

翌朝。カーテンを閉めてなかったために窓から陽の光が差し込み、二人はその眩しさで目が覚めた。
「う…」
孝太郎は眩しさの余りに目の辺りを腕で覆った。が…
「にゃお〜ん♪」
「え…ネコなんていたかしら?…!」
沙羅が目をこすりながら周りを見ると、あるものが目に入って驚いた。
「にゃ〜♪」
「ん?…何か乗ってる…?」
「ふにゃ〜♪」
ネコ(?)は孝太郎の胸のところで顔をすりすりしていた。
「こ、孝太郎君…そ、それ」
「ん?…◎△※■」
孝太郎は自分の体に乗っているネコ(?)を見てパニック状態になった。なぜなら…
「ね、姉さん!?」
「な、何やってるんですか!?」
「ゴロゴロゴロゴロ〜♪なんてね♪」
ネコだと思っていたのは京子だった。しかもネコ耳をつけている。
孝太郎と沙羅は京子の意外な一面に驚き、同時に呆れてしまった。

日曜日ということもあり、翔と留美を呼んでテスト勉強を始めた。
そのときに今朝の京子の仕草を沙羅が教えて、翔と留美が腹と口を押さえて必死で笑いを堪えたのは余談だ。

この日は夜まで4人で過ごしていた。

そして、数日後の中間試験は勉強の甲斐もあって余裕で突破した。

それからまたしばらくして、転校生が孝太郎たちのクラスにやってきた。
「さて、噂で聞いてるかもしれないが、転校生を紹介しよう」
担任の城崎が言うと、教室の出入り口を開けて一人の男が入ってきた。
その男を見てみんなは驚いた。
背が高く、髪は金髪で、バンダナを巻いてないところを除けば、孝太郎にそっくりだったからである。
「あいつ、まさか…」
孝太郎が呟いたが、誰にも聞こえることはなかった。
「では、自己紹介を」
「はい。親の都合でアメリカから転校してきました。グライド・ジグナスです。アメリカ人と日本人のハーフですので、日本語は大丈夫です。よろしくお願いします」
グライドは丁寧に挨拶して頭を下げた。
「今年一年一緒に勉強することになった。みんなも仲良くしてやってくれ。しかし、海原によく似てるな」
城崎が言うと、グライドの目つきが変わった。
「海原孝太郎…蒼天に舞う青い龍。海外では“クールドラゴン”と呼ばれて超がつくほど有名です。この学校にいるのですか?」
「俺ならここにいるぜ。グライド」
グライドが聞くと、孝太郎の重みのある声が教室に響いた。
「ほぉ、やっと見つけたぞ」
「久しぶりだな。“物真似師”」
二人にはかなりの因縁があった。
3年ほど前、孝太郎が中国で修行していたとき、パイロンの知人にある男を紹介された。
それがグライドである。彼はマーシャルアーツを学んでおり、勝負のときは孝太郎を上回る腕でグライドが優勢だったが、これなら勝てると確信して気を抜いた一瞬の隙を突かれて孝太郎に負けてしまった。
「中国での屈辱、絶対に晴らさせてもらうぞ」
「望むところだ」
そんなこんなで朝のHRは終わった。

休み時間になる度にグライドは生徒たちに囲まれ、色々と聞かれていた。
孝太郎とよく似ているが、陽気でおしゃべりなところは違っていた。

放課後。部活があったが、武道館に大勢集まっていた。
その理由は、孝太郎とグライドが勝負をすることが今朝の一件であっという間に学校中に広がったからである。
「学校での噂ってのは、広がるのが早いな」
「そうみたいだな。けど、グライドが来るまで、物真似師の噂は全く響かなかったけどな」
グライドも格闘家たちの間ではかなり有名になっていた。
アメリカでプロレスのチャンピオンやキムを打ち負かし、しかも相手の技を一度見たり受けたりしただけでその本質を理解し、自分の物にしてしまうことから“物真似師”の異名がついたのだった。
「俺が勝ったところで、お前の彼女を奪うなんてことはしないから心配するな。俺にもアメリカに残してきた彼女がいるからな」
「そんなことしていいのか?どうせならその彼女も一緒に連れて来たらよかったんじゃないのか?」
「心配ないさ。俺の母親が俺が帰るまで面倒見ててくれるからな。それに俺には、俺より先に日本に来た妹の世話をしなければいけなかったからな」
「ふ〜ん」
「無駄話はここまでにして、そろそろ始めるとしようか。みんなも待ちくたびれてる」
「いつでもいいぜ。けど、審判の合図がないと始められない」
これを聞いて城崎が間に立った。
「準備はいいみたいだな。では、両者構えて」
二人が構えると、周囲は静まった。
(あの時よりも強くなったな、クールドラゴン。だが、今回は絶対に勝つ!)
(物真似師としての能力を甘く見ることは出来ないな。烈火拳さえも使えない。今まで以上に苦戦することになるだろう)
「始め!」
この直後、グライドは目を閉じて連続攻撃を繰り出した。
(まさか、相手の動きを読みながらの攻撃か!?)
グライドの行動を見た翔が思った。
風流の回避は、目を閉じて物を見る感覚を封じ、その分他の感覚を研ぎ澄ますことによって風のわずかな乱れも感じることが出来るようになる。
孝太郎はこれを回避技にしていたが、グライドはこの原理を逆手にとって相手の動きを読み、逃げ場を奪う方法を編み出したみたいだ。
だが、孝太郎は気を集約させて目を開けたままでグライドの攻撃を後ろに下がりながら回避していた。
(な、何だ!?気配がいっぱいある!?)
グライドは驚いて目を開けると、孝太郎の周りには10体ほどの残像が出ていた。
「なるほど、残像拳か」
「応用すればこんなことも出来るんだ」
孝太郎が言うと、グライドは気を集めて孝太郎に放った。掌抵波である。
その波動は孝太郎の残像を全て消し、孝太郎自信にも少しダメージがあった。
「英次君の技…これをどこで…?」
「武道大会で見てたんだ。そのときに技を色々出してたからな」
両腕をクロスさせて防いだ孝太郎が聞くと、グライドは自慢げに言った。
(さすがだな。見ただけで自分の物にするとは…)
「ならこれも真似できるみたいだな」
そう言って掌抵剛波を放ち、グライドを吹っ飛ばした。
グライドは起き上がろうとしたが、漬物石が乗ったような重さを感じてしばらく動けなった。
「ぐっ…」
何とかして起き上がったグライドはダッシュして飛び上がり、キムの技である飛翔脚を繰り出したが、孝太郎は浮体で回避した。
その直後、孝太郎は昇竜三斬華を放ったが、回し蹴りの脚を掴まれて背負い投げをされた。
孝太郎はそのまま技にかかり、床に両手をつき、一回転して防いだ。
グライドは孝太郎が両手をついたときに手を離していたため、巻き添えになることはなかった。
が、孝太郎が脚から着地して背を向けていたのを見て、チャンスとばかりにダッシュして背にストレートを当てたが、それは空蝉だった。
「いつから忍者の真似事をするようになったんだ?」
「さあね」
いつの間にか、グライドの横に孝太郎が立っていた。それを狙っての裏拳がグライドから繰り出されたが、孝太郎は残像を出しながらバックステップで回避した。
その後、グライドがダッシュで孝太郎に近づいて手足を使った連続攻撃を繰り出し、孝太郎もそれに対抗した。
そうしているうちに、グライドは流水円舞にも似たような動きになった。
「カルロスのカーニバルダンシングオフェンスだ」
孝太郎は何とかして回避したが、それがやっとだった。
(カルロスってまさか、カルロス・レナウド…またの名をダンスファイター。英次君にそっくりだと聞いたことがある。まさか、英次君はこの技を参考に流水円舞を…だとしたら…)
またグライドの攻撃が出たが、孝太郎は空蝉で姿を消した。
その間に孝太郎は両手足に気を集め、烈火の乱れ舞を出せるようにした。
孝太郎の手足に集まった気を感じたグライドは、孝太郎に攻撃させないために連続攻撃を繰り出していたが、孝太郎は全て防いだ。
しかも腕に気を集めていたため、通常よりもダメージは少なかった。
(どうやら焦りだしたみたいだな)
孝太郎はこんなことを考えていたが、グライドも気を集め、烈火の乱れ舞を繰り出した。
「先にもらったぜ!」
グライドは不適に笑ったが、
「それを待ってた。こっちも行くぞ!」
孝太郎がそう言って繰り出したのは…。
「合成技!烈火流水円舞(れっかりゅうすいえんぶ)!!」
孝太郎は流水のような動きをしながら連続攻撃を繰り出した。
しかもその一発一発が大きく見え、攻撃のスピードも1秒間に10発出すほどだった。
「な!?」
グライドは両手足に集めた気で防ぐのがやっとだった。
そこへ孝太郎が両手足に集めていた気を両掌に集めて掌抵波を放ったのだが、その威力はかなりあった。
「ぐっ!!」
グライドは気の摩擦による湯気を全身から出しており、立っているのもやっとのようだった。
「まだやるか?」
「もういい、俺の負けだ。けど、なんて強さだ。しばらく会わないうちにこれほどの強さを身につけてるとは…」
グライドは膝を突いて荒い息をしながら言った。
「…調子に乗りすぎ…」
「?」
孝太郎がその場に座って呟いたのを聞いてグライドは首をかしげた。
「しかも勝ち負けに拘ってた。俺に絶対に勝つって意気込むのはいいけど、それが焦りに変わってることに気付かなかった」
「何が言いたい?」
「お前が負けた原因だ。あとは真似だけでそこから何の進化も見られない。それに気孔術の使い方にも問題があった」
これを聞いてグライドはガックリとなった。
「お兄さん…」
いつの間にか、グライドに女子生徒が歩み寄っていた。
「イザベラ…」
「決闘前に言ってた、お前の妹か?」
孝太郎が聞くと、グライドは何も言わずに頷いた。
「初めまして。イザベラ・ジグナスです」
自己紹介したイザベラの顔は少し赤かった。
それを見た沙羅がむっとなる。どうやら孝太郎に一目惚れしたことを察したみたいだ。
しかもイザベラは孝太郎より少し背が低く、孝太郎が自分と同じぐらいの身長になるまで少し背が高かったことを気にしていた沙羅には少し辛いものがあった。
イザベラが孝太郎に惚れたことは、どうやらグライドも気付いたみたいだ。

この日以降、イザベラは沙羅に監視され、イザベラも孝太郎の彼女である沙羅にむっとしたみたいだった。
すれ違う度に二人の間にはバチバチとなっていることが用意に想像できるぐらいだった。
影からこっそり見ている孝太郎は見るたびに苦笑していた。

ある日の授業で、英語の教師が急病で休みになったため、代わりの教師が来た。樹里菜である。
五十嵐に光を当てられた日から、太極拳を使うときも普段の陽気な樹里菜になっていた。
「今日はいつもの先生が二日酔いでさっきまで寝てたみたいなの。だから今日は臨時で私がやることになったわ。よろしくね」
これを聞いて生徒たちは笑った。
「早速だけど、興味のある英文を言って見てくれるかな?確か、少し前に転校してきたグライド君はこんなの軽いわよね?」
「まぁ、確かに。でもどっちかと言うと、日本語のほうが得意かな?」
「へぇ…まいいわ。グライド君お願いね」
「はい。I have her who promised the United States marriage.(私はアメリカに結婚を約束した彼女がいます)」
グライドは軽々と思ったとおりに英語を喋った。
何人かして、翔の番になった。
「I am giving the captain of a karate club.(私は空手部の主将をやってます)」
その次は留美。
「My father is the expert of karate and is famous Tatsuo Aoshima.(私の父は空手の達人で有名な青島達夫です)」
「へぇ、君があの空手の達人の娘さんか」
グライドが感心した。
「My elder sister is acting as the teacher of this school.(私の姉はこの学校の教師をしています)」
沙羅が言った。ちなみに、格闘をやっている生徒たちはそれを中心にした英語を言った。
そして、孝太郎の番になった。
「俺か。んじゃぁ、これで行きますか。The historical play which I like is a rowdy general.(私が好きな時代劇は暴れん坊将軍です)」
これを聞いてグライドは大笑いになった。
「やるじゃないか。お前のことは色々聞いてたけど、時代劇が好きなのは知らなかったぜ」
「ま、わずかながら中国人の血を引いてても、れっきとした日本人だからな」
「ほぅ」

そんなこんなで英語の授業は終わった。
※書かれている英語は、翻訳サイトで直訳したものなので、間違いがあるかもしれません。

この日は特にこれといったことは起こることなく終わった。

それから時が過ぎて夏休みになり、合宿で孝太郎たちは京都へ行った。しかし…。
「半年振りだなぁ」
「そうだな…」
伸びをしながら上機嫌に言う翔とは裏腹に、孝太郎は少し機嫌が悪そうだった。
「何か不満でもあるの?」
「まぁね。何で部外者が4人もいるんだ?」
孝太郎の横にいた沙羅が聞き、孝太郎は機嫌が悪い理由を話した。
孝太郎が言う部外者とは、五十嵐、樹里菜、グライド、イザベラだった。
「それがねぇ、4人とも矢神先生に交渉したのよ」
留美が汗を拭きながら言った。
「それであっけなーく許可したってわけか?…ぐえっ!
孝太郎が愚痴ると、いつの間にか後ろにいたグライドが孝太郎に締め技をかけた。
「こんにゃろ、俺たちがいたら邪魔か?…どあっ!!
気絶した孝太郎が後ろに倒れ、グライドは支えようとしたが、孝太郎が背負っていた80キロの砂袋の重さに耐えられずに倒れてしまった。
「お〜い?孝太郎?」
翔が声をかけたが、閻魔大王に会ってる孝太郎には聞こえなかった。
ちなみにグライドは砂袋と孝太郎の重さに耐えるのがやっとだった。

そんなこんなで旅館に着いた。
「やっと着いたな」
翔が汗を掻きながら言った。
「そうね…」
留美も同意する。
「で、クレイジーニンジャは?」
「俺たちの後ろだ」
グライドが聞くと、孝太郎が言った。
「ほっほっほ」
みんなが後ろを向くと、春江が笑っていた。
「半年振りじゃの。おや?見慣れない顔がおるようじゃな」
「ま、見慣れない4人は部外者ってことで…おっと」
孝太郎が言うと、五十嵐と樹里菜とグライドとイザベラが掴みかかろうとしたが、孝太郎は空蝉で回避した。

広間に全員集まり、城崎が色々説明した。その中に春江もいたのだが…。
そこへ孝太郎の青龍の剣を鍛えた刀匠が現れた。
「青年よ、久しぶりじゃのう」
「そうですね。お爺さんも元気そうで」
孝太郎と刀匠が話していたが、そこへ異様な突っ込みが起こった。


<あとがき>
心を通わせあった二人。
翌朝、なぜかネコ耳をつけて孝太郎に頬擦りしてた京子。
少しして転校してきた孝太郎によく似ているグライド。
中国での屈辱を晴らそうとしたが、またもや敗北。
グライドの妹の登場。沙羅にとってはライバルになる。
数日後、合宿が行われたが…。
次回の異様な突っ込みにみんなは…。
今回はここまでです。
短文ですが、以上です。

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