ACT1
トントントン・・・
キッチンから音が聞こえる。瑠璃がご飯を作っているからだ。
僕も何か手伝おうとしたけど、邪魔になると言われてしまった。
しかたなく、僕はボーーっとしながら待つことにした。
「おまちどうさま」
ほどなくしてテーブルに料理が並んだ。
ご飯、味噌汁、幾つかのおかず。和食だった。
僕は早速箸を伸ばす。
「うわぁ、おいしい!」
「ありがと。でも、君に言われてもあんまり・・・」
そういえば僕、昨日(時間的には今日だが)カップラーメンで感動していたんだった。
「もちろん、カップラーメンの何倍も美味しいよ!」
「どうも」
そっけない返事が返ってきた。
それからはなんとなく話しづらくて無言だった。
ご飯を食べ終わり、僕は食器を洗っている。瑠璃は自分がやると言ったが、このくらいは僕がしないと悪いと思った。
食器を洗い終わると僕はユニットバスに追いやられた。
衣擦れの音が少し聞こえてくる。たぶん着替えをしているのだろう。
う・・・想像してはいけないと思いつつ、想像してしまう・・・。
そうやって僕が理性(?)と戦っているうちに、瑠璃は制服に着替え終わっていた。
「それじゃ、私学校行ってくる。これ、合鍵だから」
「うわっと」
僕は瑠璃が投げた鍵をキャッチする。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
瑠璃が出て行った後。僕はふと思った。
僕はこのまま家のものを持って逃げるって言う事ができるんじゃないだろうか。
もちろん僕はそんなことする気はないが(泥棒になる勇気はなかった)、瑠璃はどう思ってるんだろうか?
僕って信用されているのだろうか?それも変な話だ。
ま、どうでもいい事にしておく。
掃除でもすることにしよう。
僕は掃除機を探し始めた。
お昼になった。
僕は瑠璃が朝に作っておいてくれたお弁当を食べている。
僕が少しくらいでも料理ができたらいいのにと思って、とりあえず台所に立ってみたけど、できそうになかった。
多分、記憶があったときの僕も料理なんてしたことないんだろう。
そんなことを考えながら食べていたら、いつのまにか食べ終わっていた。
瑠璃はまだ帰ってこないだろうから・・・。
「ちょっとぶらぶらしてこようかな」
誰に言うでもなく呟いて、僕は外に出た。
おっと、鍵かけ忘れないようにしないと。
瑠璃に渡された合鍵を使い、しっかりと鍵が掛かったのを確認してから、僕は歩き出した。
僕は公園にいた。
場所を知っていたわけではなくて、歩いていたら目に付いただけだけど。
人も全然いないし、結構きれいな公園なので気に入った。
ベンチに座って、空を眺めている。
青い空の海の中で、白い雲がゆっくりと泳いでいた。
桜の香りが、風に乗って僕に届く。
僕は何気なしにそちらを向いた。
「あれ?」
桜の木の幹に女の子が背をあずけて、俯き加減に座っていた。
見たところ眠っているようだ。
その娘が着ている服は、今朝瑠璃が着ていたものと同じ学校の制服だった。
でも、学校ってこんな時間に終わらないと思うんだけど・・・
「ねぇ」
「ふにゃ?」
女の子は間抜けな声を出しながら僕を見上げた。
ちょっとの間ボーっと僕の顔を見て、それから急に驚いたような表情になって騒ぎ始めた。
「あわわ、ボ、ボクは別にさぼってたんじゃなくて、あ、でも学校出たら駄目だって知らなかったわけじゃないけど、え〜と、え〜っとぉ、だから・・・」
「あの〜。話が見えないんだけど・・・」
「ふぇ?あ、先生じゃないんだ。あ〜、驚いたぁ」
なんか面白い娘だな。
僕の第一印象はそんなだった。
「で、なにやってるの?こんな所で」
「う〜ん。実は午後の授業さぼっちゃおっかな〜、って思って。今日の午後は嫌いな教科だったから」
そういってテヘヘ、と少し照れ気味に笑った。
こうしてみると結構可愛い娘だな。
「君はどうしたの?君もさぼり?」
「えと・・・そんなところかな」
「えへへ。それじゃさぼり仲間だね♪」
さぼり仲間って・・・。
実際僕は学校に通ってるかどうかも解らないんだけど。
でも多分、通ってるんだろうな。普通に考えたら。
「あのね、ボク、夢宮 くるす(ゆめみや くるす)。くるすはひらがなだよ。君は?」
「僕は・・・」
言おうとして思い出した。
僕の名前って、なんだったろう。
・・・思い出せない。
必死に思い出そうと試みている僕を不思議に思ったのか、くるすが尋ねてきた。
「どうしたの?」
「えっと・・・」
「あ、解った!すっごい恥ずかしい名前なんでしょ。与作(よさく)とか?為五郎(ためごろう)とか?」
・・・・・・与作・・・為五郎・・・。
それはないと思う・・・。
「あはは。それじゃあ言いたくないよね〜。いいよ、無理に教えてくれなくて。ところで、一緒に遊ぼうよ。お昼寝も飽きちゃった」
人見知りしない娘だなぁ・・・。
しかも飽きるほど寝てたって、いつからここで寝てたんだろう。
そう思いながら僕は、
「いいよ」
と答えた。
何をしてたかって言うと・・・まぁ、いろいろと。
「それじゃ、またねぇ♪」
「うん、さよなら」
3時半くらいになって、くるすは帰っていった。
おそらく学校が終わる大体の時間に合わせたのだろうから、僕も少し急いで瑠璃の家に戻った。
僕が瑠璃の家に着いたのは瑠璃が戻る少し前だった。
瑠璃はまた着替えるために僕をユニットバスへ追いやる。
なんか想像しちゃうのは・・・仕方ないと思おう。
そうして着替え終わった瑠璃が、突然僕に聞いてきた。
「で、どうするの?」
「・・・・・・って、なにが?」
「これからどうするつもりなの?」
「どうするって・・・」
どうしよう・・・。
また、あてもなくその辺を彷徨わなくちゃならないんだろうか。
「どうすればいいかな・・・?」
疑問形で返してみる。
答えが返ってくることは、あまり期待してないけど。
「ここに、いる?」
「・・・・・・え?」
瑠璃が今発した言葉が頭で理解できなくて、僕はつい聞き返してしまった。
「もう少し、ここにいる?」
「い、いいの?」
「いいよ。いたいのなら」
そういって、瑠璃は微かに笑った。
初めて見るその笑みは、とても優しくて、綺麗だった。
あとがき的座談会〜♪
フェレット(以下 フ)「ふみぃ〜。フェレットで〜すぅ♪」
くるす(以下 く)「今日の相手はボク一人だって。えへへ、二人きりなんだね」
フ「あ・・・えへへへへ♪」
く「ボクとしては主人公君の方が良かったなぁ〜」
フ「ガーン!!そ、そんなぁ・・・」
く「あ、ゴメンゴメン。よっきゅんでも嬉しいよ♪」
フ「あの〜、よっきゅんとはいったい誰のことなんでしょ〜か〜?」(^^;
く「ダメ?(ウルウル)」
フ「え、いや〜、駄目って言うか〜、名前に関係ないんじゃぁ・・・」
く「あはは、冗談だよ♪それじゃあフェレット君でいいよね」
フ「そうしてくれた方が楽で嬉しいよ〜」
く「楽?」
フ「うん。これからの座談会でも間違えないし・・・って、ああいやその何でもないですぅ〜」
く「あはははは♪かわいぃ〜♪」
フ「あう〜・・・わ、話題変えよう〜!」
く「う〜ん。話題って男の子のほうから出してほしかったかな〜?」
フ「そ、そういうものなの〜?えと、えと〜、今回は1話です〜」
く「(ずる)なにそれぇ〜?」
フ「あ、やっぱり駄目だった〜?」(^^;
く「あはは、フェレット君だよねぇ〜」
フ「ふみぃ〜。あ、そうそう。今回は(これでも)かなり早く掲載したんですよ〜。ボクにしてはですけど〜。(笑)実はこの小説、あるHPに、もっと前に掲載させて頂いてたんですよ〜。それでね〜♪」
く「そこもプロローグしかないから、1話は今、一緒に送ったんだよね♪」
フ「そ〜なんだ〜。だから、2話以降はこんなに早く(?)は書けないと思うのでご容赦くださいですぅ〜」
く「大体1〜2ヶ月に1話位がいつもなんだって♪遅いかもしれないけど見捨てないであげてね」
フ「あぅ〜。くるす優しいよぉ〜。ありがとうだよぉ〜」
く「エヘヘ。お礼を言われるようなことじゃないよ」
フ「でもやっぱり言いたかったんだもん〜。それじゃあ、そろそろ終わろっか〜?」
く「うん。じゃ、せーの」
フ&く「ここまで読んでくださって、ありがとうございました〜♪」