ACT3
土曜日。
瑠璃の学校は土日が全部休みの週休2日らしい。
そんなわけで、僕と瑠璃は街の探索に出かけた。
まず向かったのは商店街。
僕のポケットに入っている財布にはもう1円玉や5円玉が数枚入っている程度だったが、来る事も多分あるだろう。
ちょっとしたお使いを頼まれることもあるだろうし・・・
「あれぇ?里緒くん?」
「え?」
不意に名前を(とは言っても仮のだけど)呼ばれたので驚いた。
でもよく考えると、この名前を知ってるのは瑠璃のほかには・・・
「くるす」
「おっはよぉ〜!」
思ったとおりの満面の笑顔がそこにあった。
と、そこでくるすは僕の隣にいる人物に気がついたようだ。
「あれ?えっと、月峰さん?里緒くんと知り合いだったの?それとも、もしかして恋人!?じゃあじゃあ、今日はデート!?」
くるすの笑顔が小悪魔的なものに変わる。
僕は慌てて反論しようとしたが、隣の瑠璃が全く動揺してないのを見て少し落ち着こうと試みた。
小さく深呼吸・・・。
「そういう関係ではないけど。夢宮さんはお買い物?」
「ちがうの?ふ〜ん・・・。ボクは単なる暇つぶし。家にいるとお母さんが『ちゃんと 勉強しなさい!』ってうるさいんだもん。まだ学校始まったばっかりなのにさ」
「でもちゃんとお勉強しないと、また進級危なくなっちゃうと思うけど?」
「う・・・だ、大丈夫!去年もちゃんと進級できたもん」
「進級?出来たの?」
「うわ〜、里緒くんそんなこと言う〜?里緒くんだってこの前はボクより早くサボってたでしょ」
「あ・・・」
「ふぅ。五十歩百歩よね」
瑠璃はやれやれといった感じでため息をついた。
僕はしょうがないじゃないか・・・とは言えないんだよなぁ。
「あ、ごめん。デートの邪魔しちゃったね」
「だからデートじゃないって・・・」
「照れない照れない♪それじゃ、まったねぇ〜♪」
くるすは軽く手を振って走っていってしまった。
小さくなっていくくるすの後ろ姿が何故か寂しく思えた。
「疲れたぁ〜!あっちこっち回りすぎだよぉ〜」
「そうかな?そんなことないと思うけど」
あの後も瑠璃と一緒に色々と回ってみた。
僕は方向音痴ではなかったらしく、この辺りの道は大体覚えた自信がある。
替わりに、歩き詰めだったせいで帰ったときには足が棒になってしまった。
瑠璃は何ともないみたい。なんだかちょっと悔しい。
「明日も休みだから、また付き合ってあげようか?」
「え・・・いや、いいよ・・・」
「そう?」
明日はゆっくり休みたい・・・。
「そういえば何で水族館なんて行ったの?」
「嫌だった?」
「嫌じゃないけど・・・入場料払ってまで入らなくても良かったんじゃない?」
「いいのよ。そういうことは気にしないで」
「でもさ、僕なんかと一緒じゃつまんなくなかった?」
「どうして?」
「だって、やっぱり彼氏とかと一緒のほうが良かったんじゃない?」
「彼氏なんていないわよ、私」
「え、嘘?」
瑠璃は第一印象は冷たい感じだったけど、ほんとはすごく優しいし綺麗だし、彼氏くらいいても良いと思ったんだけどなぁ。
「さて、それじゃあご飯の用意でもしようかな」
「やった♪今日は何かな?」
「クスッ。なんだかお母さんになった気分」
「あはは、いいね・・・って、また僕のこと子供扱いしてない?」
「うふふ、気のせいよ」
お母さん・・・か。
そういえば、僕の親は今頃どうしてるんだろう?
それに、瑠璃もどうして一人暮らししてるんだろ。
なんだか、僕って瑠璃のこと、ほとんど知らないんだな・・・。
そう考えたら、僕は少し寂しく感じた。
あとがき的座談会〜♪
フェレット(以下 フ)「ふみぃ〜、フェレットですぅ〜♪」
瑠璃(以下 瑠)「今日は私一人?」
フ「うん♪」
瑠「どうして?」
フ「だって、この前は瑠璃だけいなかったでしょ〜?」
瑠「そうだけど・・・」
フ「そんなわけで〜、今日も楽しく行きましょう〜!」
瑠「どんなわけか解らないけど」
フ「ああ、そんなお約束な突っ込みを〜・・・」
瑠「いけなかった?」
フ「あ、別に良いけど〜。さ〜て、何を話そうかな〜」
瑠「また決めてなかったんだ?」
フ「う・・・じゃ、じゃあねぇ〜、里緒って名前はどんな意味があるの〜?」
瑠「それって今ここで言っていいこと?」
フ「う、ダメかも〜・・・」
瑠「そう思うなら始めから聞かないでよ・・・」
フ「ん〜・・・じゃあ〜、瑠璃やくるすの名前の意味でも〜」
瑠「あ、ちょっと聞きたい」
フ「瑠璃は設定で瞳と髪の色が瑠璃色だったからだよ〜」
瑠「そうなの?」
フ「この前この話を読んでくれた人の一人に言われちゃったんだけど〜、この話の中で皆の容貌がどんなかってほとんど書いてないんだよね〜」
瑠「どうして書かないの?」
フ「正直に言うとそういうのが苦手だからです〜」
瑠「・・・・・・」
フ「あう、ゴメンナサイ・・・。で、くるすの名前ですね〜。
くるすの方はひらがなの名前をつけたいって思ったらなんとなく出てきたのを使いました〜♪」
くるす(以下 く)「えぇ〜!?じゃあボクの名前って意味は無いの〜!?」
フ「うわ、くるす?呼んでなかったのに・・・。えっと、ゴメン、そうなの〜・・・」
瑠「でもくるすだったら『来栖』や『来須』みたいに漢字があるわよ?」
フ「あ、だってそれ名前っぽくないかな〜って」
く「はぁ・・・ボクって・・・」
瑠「夢宮さん、気にすること無いわよ。私の名前もそんなに深い意味があったわけでもないし」
フ「何気にきついお言葉を〜・・・」
く「そ、そうだね!それに名前が何でもボクはボクだしね!ありがと、月峰さん♪」
フ「あ、ここで苗字の意味はって突っ込まないでくださいね〜」
瑠「どうして?・・・って、なんだかわかる気がする」
く「ボクも大体わかるよ・・・」
フ「あ、あはは〜。それでは・・・」
フ&瑠&く「ここまで読んでくださって、ありがとうございました」