ACT4
瑠璃と暮らし始めて今日で1週間。
その間、僕のことは特に何もわからなかった。
本気でわかろうとしなかったからかもしれない。
僕は今の瑠璃との生活が好きになっていた。
だから嫌だった。
記憶が戻ったときに今が失われてしまいそうだったから。
「どうかしたの?難しい顔して・・・」
「え、何?」
「変な顔してた。何かあったの?」
「え、え〜っと・・・」
・・・恥ずかしくて言えるわけない・・・。
「瑠璃のご飯は本当においしいなあって思ってただけだよ」
苦し紛れにそう言っていかにも美味しそうに瑠璃の作ったご飯を食べてみるが、瑠璃は苦笑いを浮かべて反応を返してきた。
やっぱり嘘はバレバレのようだ・・・。
プルルル・・・ プルルル・・・
不意に滅多に鳴らない(というか僕が来てから始めて)電話のコール音が鳴り響いた。
瑠璃は受話器をとり、左の耳に当てる。と、瑠璃の表情が驚きのそれに変わった。
「・・・お父さん?」
―――瑠璃の、お父さん・・・?
「どうしたの?・・・うん・・・うん、大丈夫だけど・・・。え、戻れそうなの?・・・うん・・・解った、待ってるから。はい、それじゃ、お仕事頑張って」
瑠璃はゆっくりと受話器を戻した。
あまり感情を表に出さない瑠璃なために解りにくいかもしれないけど、今は凄く嬉しそうだ。
そのくらい瑠璃の雰囲気っていうのかな、そういうのが明るくなっている。
「瑠璃。今の電話って、瑠璃のお父さん?」
「うん。いつもは仕事で外国にいるんだけど、昨日から戻ってきてて、明日の夜は家にも来れそうなんだって。会うのはもう2年ぶり位かな」
「そうなんだ・・・あの、それでさぁ・・・」
「なに?どうしたの、里緒?」
いつもより浮かれ気味の瑠璃は気付いてないんだろうか。
瑠璃のお父さんが戻ってくるとしたら・・・
「明日は僕が家にいるとマズいんじゃない?」
「あ・・・」
翌日の夜。
僕は今日、公園で寝ることになった。
瑠璃と会う前に同じ事をしたことがあったから別段辛くもないけど、やっぱりちょっと寂しいかも。
「はぁ・・・」
瑠璃の作ってくれたお弁当を脇に置き、ベンチに座っている僕。
小さくため息をついた後、夜空を見上げてみる。
星が小さく瞬いて、月は少しその体を欠けさせながらも優しく光っていた。
瑠璃は本当に色々してくれる。
じゃあ僕は?
何も、何もしていない。
瑠璃は大変な筈なのに僕はただ甘えているだけだ。
「はぁ〜・・・」
さっきより深いため息が出た。
自分がどうしようもないくらい惨めで無意味な存在に思えてくる。
でも、瑠璃がそれを聞いたら・・・
「・・ぇ、り・・・ん」
『そんなことない』って言って慰めてくれるのかな。
そうして僕はそれに甘えるのかな・・・。
「・・・おく・・・お〜・・・」
・・・やっぱり、僕はいない方がいいんじゃないかな・・・。
今日だって僕のせいで余計な手間かけさせちゃって・・・。
「こっらぁぁぁぁ!!無視するなぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うわあぁぁ!?」
突然僕の耳元で誰かが叫んだ。
うぅ、耳がキンキンする・・・。
いきなりそんな事をしてきた人物を確かめようとそちらを向いてみる。
「・・・あはは・・・」
「こんばんは、里緒くん♪」
そこにいたのはもうやっぱりというか何と言うか、くるすだった。
僕が公園にいるときのくるすとのエンカウント率って相当高いよなぁ〜・・・。
「なにかな〜、その『やれやれ、またくるすか』みたいな顔は〜?」
「う、僕そんな顔してた?」
「ばっちりそんな顔してた!」
くるすは頬を膨らませて僕を睨んでくる。
結構可愛いんだよね、こういう所。
「何にやにや笑ってるのかな?」
「ん、別に〜」
「むぅ・・・ところで何やってたの?これ、お弁当?」
「あはは、今日はちょっとあって家にいられなくってさ・・・」
「ちょっと・・・ねぇ。親と喧嘩でもした?」
「そんなんじゃないよ。今日だけちょっとね」
「そっか。でも野宿って・・・お友達の家に泊めてもらったりしたら?」
友達って・・・今は瑠璃のほかの知り合いって言ったらくるすだけだよ・・・。
「じゃあくるすが泊めてくれる?」
「うん、いいよ♪」
・・・はい?
「え〜と、今、泊まっていいって言ったの?」
「うん、そう。今日は里緒くんをボクの家に泊めてあげよう♪」
「・・・いいの?」
「ダイジョブダイジョブ。今日はお父さんもお母さんも用事で帰ってこないんだ」
え〜と、まぁ、瑠璃の家に泊まってて今更なんだけど、本当にいいのかな?
・・・あんまり良くない気がする・・・。
「くるすってさぁ、兄弟とかいる?」
「ううん。ボクは一人っ子だよ」
じゃあやっぱり二人きりな訳?
「気にしなくっていいんだってば。ボクよく子猫とか拾って家に連れて帰ったりしてるんだから」
「僕は動物か!」
「ナイス突っ込み♪という訳でレッツゴー♪」
「あああぁぁぁぁ・・・・」
くるすは僕の手をとって無理矢理引きずっていく。
まぁ振り払おうと思えば簡単に出来るけど、嫌な訳じゃないし、どちらかといったらついてるんだよね?
一日だけならそんなに迷惑かけずにすみそうだし・・・断るのも気が引けるし・・・。
・・・なんだか僕、くるすにまで甘えちゃってるな・・・。
あとがき的座談会〜♪
フェレット(以下 フ)「ごめんなさい!!!」
里緒(以下 里)「いきなり何!?」
瑠璃(以下 瑠)「いつものは無いの?」
くるす(以下 く)「そうそう、『ふみぃ〜』って言うの♪」
フ「そ、それはこっちにおいといて、ね〜?(汗)」
瑠「で、いきなり謝ったのは何だったの?」
フ「んっと〜、今回はいつも以上にご都合主義でいってしまいましたれす〜。その上手抜きしまくってまする〜・・・特に描写を手抜きしてしまって〜・・・」
里「ご都合主義って、最後のこと?」
く「ボクとしては嬉しいよ、出番あったし♪」
フ「あ、くるすが出てくるのは決まってたんだけどね〜。でももう少し自然な感じで進めたかったのにこれって都合良すぎだよね〜?」
里「そう思うなら直せば良いのに」
フ「それが出来なかったから・・・」
瑠「単に力尽きちゃっただけじゃないの?」
フ「あうぅっ!」
く「初めからボクの出番はあったって言うことは、出番が減っちゃったってことかな?」
里「そうかもしれないね」
く「じゃあもうちょっと頑張ってほしかったなぁ〜」
フ「あぁぁ〜!いつもは味方のくるすまで〜!?」
里「うわ、悲惨だ・・・」
瑠「別に苛めてるつもりはないんだけど・・・」
く「わぁ、そんなつもりで言ったんじゃないよぉ」
フ「ひっく・・・ボクって、ボクって・・・」
フェレット退場
里「行っちゃった・・・って!じゃあこれからどうしよう!?」
く「せっかくだから3人で一緒に遊ぼうよ♪」
瑠「そうね、一緒にどこかへ行きましょうか?」
く「うん♪」
3人退場 そして、その頃・・・
フ「あは、あはは・・・ほとんど見捨てられてる〜?あはは、あははははははははは・・・」