第4話

『好き』

ノエルは、心底疲れきっていた。
何故自分がこのような目にあっているのか?
それすらも忘れてしまうほどに、心身に溜まった疲労は大きいものだった。

クロケットは言った。
『ケロケロ〜。戻れるケロよ、その代わり二度とトオルには会えないケロが?それでもいいケロか?』
と。

ノエルは、朦朧とする意識の中で、トオルのことを思い出していた。

ノエル:(・・・私・・・どうして、トオルを探していたのかな?)
暑さのせいで、なかなか考えがまとまらないノエル。
彼女は、トオルと出会う前・・・つまり、夢の中であった『トオル』のことを思い返していた。

ノエル:(物心ついたときから私には『不思議な力(能力)』があった。)
そして、ノエルは思い出を遡らせ、回想して言った。
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あれはまだ、ノエルが自分の中の力に目覚めたばかりのころ。
時の世界で『迷子』となってしまう。
『そこ』が、自分のいた世界とは違う場所ということを無意識の内に察し、途方にくれていた。

ノエル:「・・ここは、どこ〜・・・グスッ。うう・・・」
心細く、今にも泣き出しそうなノエル。

ノエル:「うわ〜〜〜〜〜ん!!ママァ〜ッ!!」
ついには大声で泣き出してしまった。
泣き続けたノエルは、そのうち『泣き疲れ』てしまい、その場で眠ってしまった。


ノエル:「・・うう、マ・・ママ・・・・。」
なき続けたせいで、顔が涙の後でぐっしょりとしていた。
そんなときだった。
彼女が『あの夢』を見たのは。

ノエル:「ママ〜ッ!ママ、どこ〜ッ!!」
夢の中でも、ノエルはママを呼んでいた。
悲しみがどんどんと膨れ上がってくる。
次第に明るかった景色も暗い闇の中に沈んでいく。
それは、ノエルの心そのものだった。

ノエル:「・・・・うう、グスッ。うううう・・・」
とうとう『闇』の中にとらわれたノエルは、何も見えないくらい闇の底でただ泣くことしか出来なかった。

<ピカッ!>
と、光が彼女の前に現れた。
その瞬間、ノエルは光の方へ顔を上げた。

ノエル:「・・誰?・・ママァ?」
???:「・・え・・ッと、ママじゃないよ。・・俺、トオル。どうしたの?こんなトコロで。」
目の前に立っていたのは、自分と同じくらいの『男の子』だった。

ノエル:「・・・うう、ママァ〜・・・。」
また泣き始めようとするノエル。

トオル:「わっ、わわっ。な、泣かないでよ。・・・じゃあ、一緒に『ママ』を探してあげるよ。・・ねっ。」
そう言って、ノエルに手を差し伸べるトオル。
ノエルは、そのてをジッと見つめ、そして手をとった。

トオル:「よ〜し、じゃあ行こうよ。」
ノエル:「・・どこへ?」
トオル:「・・・えっ?そ、それは〜・・・。」
ノエルの言葉で、トオルは勢いだけだったことを思い返し、考え込んでしまう。

ノエル:「・・う、うう・・ううう・・・」
また泣き出しそうになるノエル。
それを見て、トオルは慌てた。

トオル:「だ、大丈夫だよ。ちゃんとママの所に連れて行ってあげるから。」
トオルは、笑顔でそう言った。
その笑顔に魅せられ、ノエルも自然に笑顔になった。

どれくらい歩いただろう・・・。
一人だったら、とっくに疲れ果てて・・また、泣きじゃくっていたに違いない。
なのに、『トオル』といるだけでノエルはどこか『ワクワク・ドキドキ』していた。

知らない場所、知らない建物、知らない人。
だけど、『トオル』といるだけで楽しくなっていた。

・・・そして、気づくとノエルは自分の部屋のベットの中にいた。

ノエル:「・・・『トオル』。私の『運命の男の子』。」
ノエルは、その時から『トオル』のことを『好き』になった・・・。
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ノエル:「・・・そうだ。・・私・・・トオルをずっと探してた。」
忘れてしまっていたノエルの『始まり』。
あの時の『出会い』があったから、『今の私』がいる。
ノエルは、朦朧とする意識の中で、それを思い出したのである。

ノエル:「・・私、トオルを探さなくちゃ・・・。」
そういうと、クロケットを無視してノエルは歩き出した。

クロケット:「・・このまま行っても、会える保証はないケロ。・・それでも、行くケロか?」
ノエル:「うん♪・・だって、思い出したから、『大切なこと』を・・・。」
クロケットの言葉に、ノエルは笑顔で答えた。

そして、ノエルはクロケットをそこに残し歩き始めたのである。

クロケット:「・・・それでいいケロ。・・それで。」
クロケットはノエルを見送りながらそんな言葉を残し消えていった。

ノエル:「・・待っててね、トオル。私、思い出したから・・・『大切な思い出』、思い出したから・・・。だから、今行くよ。」
そう呟きながら、ノエルは炎天下の中、歩いていた。

ノエル:「・・必ず会って、伝えるから・・・私の思い・・・『大好き』だって。」
朦朧とする意識を追い払うように、笑顔で言葉を口にするノエル。
『好き』という言葉を口にすることで、力が湧いてくるのを感じていた。


★★★あとがき☆よこく★★★
どうも、なおふみんです^^
なおふみん式『トラベル☆ラブストーリー(時超恋愛)』の第四回です^^
今回は、ノエル・メインのお話でした。
ノエルの忘れていた『大切な出来事』。
ここから、本当の二人の物語が始まる『きっかけ』が出来たわけです。
まだ、『始まってもいない』二人の恋の物語・・。
次回でようやく『スタートライン』に立ちます^^
第一部完結となる次回。
どんどんシリアスな展開に・・・(汗
では、次回の<恋の始まり>でまたお会いしましょう^^
と言うことで、次回をお楽しみに^^
では^^/

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