第6話

「〜Love thatexceeds time〜」




トオル:「ううぅ〜・・・さ、寒いな・・」
ノエル:「こ、凍えちゃうよぉ〜・・・」
猛吹雪が俺とノエルを包み込む・・。

俺たちがいるのは、この世界の一つ・・・"氷の国"だった。

なぜ俺とノエルがこの世界に来たのかというと・・・



〜回想〜


クロケット:「ときあい争奪戦、一つ目のフィールド・・・<氷の国>にようこそケロ♪」
ゲロゲロと笑う蛙のぬいぐるみ・・。

その緑の身体の真ん中には金色に輝く☆マーク。

まるで・・・ケ○ロ○曹?

いやいや・・こちらの方がリアルに蛙に近いのだが・・・

トオル:「ときあい争奪だの・・一つ目のフィールドだの・・・どういうことだ?クロケット?」
ノエル:「それに・・・私達以外にも"ときあい"を求めている者たちがいるとか言ってなかったっけ?」
俺たち二人からの質問に、クロケットはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。


クロケット:「まずは、順序だてて答えるためにも・・ノエルの質問から答えるケロ」
まるで、質問内容が分かっていたというようなくロケットの態度に俺は少しばかりムカッときていた。


クロケット:「前に少し話したケロが・・・ときあいを求めているのは通るとのえるだけではないケロ」
それは、初めての試練の時にも聞いた覚えがある。


クロケット:「"今回"のときあい争奪にはトオルとノエルの他に3組いるケロ」
トオル:「3組も・・・」
ノエル:「私達と同じように"この上ない幸せ"を手にするためにときあいを探しているのね?」
クロケット:「そう言うことケロ〜」
ケロケロケロケロ・・・と鳴くクロケット。

正直、やかましいと思った。


クロケット:「それぞれに理由は違うケロが・・・"求めるもの"は同じものケロ」
トオル:「じゃあ、フィールドとかって言うのは・・・」
クロケット:「お前達を含む4組のカップルが、ときあいを求めるために与えられた"試練"ケロよ」
そこまで言われれば俺たちにも理解できる。


クロケット:「ときあいは一番最初に見つけた者たちに与えられるケロ・・・そのためには、3つのフィールドをクリアするケロよ」
ノエル:「それで?そのフィールドのクリア条件は?」
トオル:「そうそう、それそれ」
クロケット:「それは・・・」
トオル&ノエル:「「それは?」」
俺たちは固唾を呑んでクロケットの言葉を待つ。


クロケット:「―――ひ・み・つ・・ケロ♪」
ズコッ!!

コケる俺。


トオル:「こ、この・・・蛙モドキが〜・・・」
ノエル:「・・・クロケット、殴ってもいい?」
クロケット:「その振り上げた拳を引っ込めるケロッ!・・・全く、ちょっとしたお茶目ケロに〜・・・」
焦るクロケットだったが・・・ノエルが拳を下げるんを見てブツブツと文句を言っている。

しかし、こちらに視線を返すとこう言った。


クロケット:「言い方は悪かったケロが、フィールドクリアにヒントは無いケロよ・・・自分達で探すしかないケロ」
そう言うと、フワフワと空中に高々と浮かんでいく。


トオル:「お、おいっ!どこに行くんだ、クロケット?」
ノエル:「降りてこ〜いっ!この蛙モドキーッ!!」
しかし、クロケットは一向に降りてくる気配が無い。


クロケット:「ケーロケロケロ・・・がんばるケロよ、"運命に絆に結ばれし選ばれたる者たち"・・・ケロ〜♪」
最後にそう言い残し、クロケットはその場から姿を消した。



〜回想終わり〜



と、言うわけで・・・俺たちはこの"氷の国"を歩きだし・・・途中から猛吹雪が吹き荒れ今に至るというわけだ。


トオル:「くそっ・・・前が見えない・・・・・」
ノエル:「このままじゃ、私達・・・」
このままだと各自に訪れるのは・・・"死"。

俺とノエルは目を会わせ、今の状況にあがなう術を探す。

・・・しかし、どちらにも良い考えが浮かぶわけもなく・・・


トオル:「ど〜するよ、ノエル?」
ノエル:「し、思考まで・・・停止しそう・・・」
トオル:「とりあえず、歩くしかないか・・・ノエル」
ノエル:「・・ん?」
トオル:「俺の背中におぶされ・・・」
ノエル:「で、でも・・・」
トオル:「大丈夫・・その方がお互い体温下がらないだろう?」
ノエル:「だ、だけど・・・」
トオル:「"でも"も、"だけど"も禁止っ!!早くしろってっ!」
ノエル:「ぅん・・・・・・・・・・・ありがと」
俺の背に乗り、両手を俺の首に絡ませる。

俺は、ノエルの重みをしっかりと刻み込み、一歩、一歩、歩き始めた。


トオル:「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・・」
吹雪が身体を劈くように当たり寒いというより痛い・・。

しかも、積雪がどんどん増えて歩くのも困難になり始めている・・。

さらに、呼吸がどんどん荒くなってきている・・。


ノエル:「トオル、大丈夫?」
トオル:「へ、平気・・平気・・・」
やべぇ・・。

し、視界がだんだん狭く・・・

くそっ・・・

負けるもんかよ・・・


トオル:「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・・」
・・な、なんだぁ?

なんか・・静かだな・・・

何にも聞こえなくなってきたぞ・・・

これって、マジ、やばくないか?


トオル:「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・・」
うおっ!

し、視界が真っ白に・・・

雪のせいか?

それとも・・・

あ、あれっ?

身体が・・・揺れる・・・・・

真っ直ぐ・・歩けない・・・

もしかして・・・・・

もう、ダメ?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





???:「・・・こんなところで・・・・・"人"と出会うとはな・・」
???:「放ってはおけないわ・・助けないと・・・」
???:「分かっているよ、リィーネ」
???:「急ぎましょう、アルク」
???:「ああ・・」
どこかで・・声が聞こえた気がした・・・

でも・・・自分ではそれを確認することは出来なかった・・。

・・・・・・・・・・・・・ごめん、ノエル・・・・・




・・・温かい・・・・・

身体の全身が暖かに包まれている・・・。

そんな感じがする・・・。

ノエル:「・・・・ル、・・・・・・オル、・・・・・ト・・ル・・・」
誰かが呼んでいる・・。

誰?

俺を呼ぶのは誰?


ノエル:「トオルッ!トオルッ!!」
トオル:「―――っ、・・・ノ・・エル?」
ノエルの顔が見えたので、起き上がろうとしたのだが・・・

身体が思うように動くことが出来ず、声だけの反応となった。


???:「・・無理はしないほうがいい」
???:「凍傷になりかけだったから・・まだ、体は思うように動かないはずよ・・」
知らない二つの声。

俺は、ノエルに視線を向ける。


ノエル:「私達を助けてくれた・・・アルクさんとリィーネさんよ」
トオル:「・・・・そうか・・・ありがとう・・・お礼を言うよ・・・・・ぅおっ!?」
何とか視線を向けることが出来た俺はお礼を言った後で驚く。

なぜなら・・・・・


トオル:「・・・・・・・・・・・」
ノエル:「あ〜・・・それ、私も驚いたから・・・」
アルク:「あ―――、我々の着ているものですね?」
リィーネ:「後は・・・私の耳かしら・・・」
そのどちらもだった・・・。
アルクと名乗る青年は、身体に鎧を纏い肩口からマントと・・・まるでファンタジーゲームに出てくる"戦士"のような格好をしている。
リィーネと名乗る女性は、身体に鎧を付け入るが・・・その特徴的な長い耳が印象的で・・・まるで、ファンタジー者の"エルフ"。
まさに、そんな感じだった・・・。


アルク:「まあ、僕らからしたら君達の服装の方が"奇妙"なんだけどね・・」
リィーネ:「そうね・・でも、私のことは不思議でもしかたないかしら?」
ノエル:「あの・・・もしかしてですけど・・・リィーネさんて・・・"エルフ族"だったりとか・・・」
リィーネ:「えっ!?・・・知っているんですか?エルフ族のこと?」
トオル:「知ってるってほどじゃないですが・・・俺たちの世界では"空想上の"って位でしか知りませんけど・・・」
ようやく身体が動くくらいになった俺は、言いながら起き上がる。

アルク:「・・空想上か・・・・・そう言う風に聞くとますます別世界の人だということが分かるね」
リィーネ:「そうね・・」
二人は視線を重ね笑う。

それは"安心しあえる微笑み"のようにも見え・・・

何故か・・儚くも見えた・・・。


ノエル:「あの・・・もしかしてじゃなくても・・・お二人も"ときあい"を探しているんですよね?」
アルク&リィーネ:「「・・・・・・・・・・・・・・」」
ノエルの突然の言葉・・・。

一気に俺たちの間は静まり返った。


アルク:「ええ・・、私達は"ときあい"を探してこのフィールドの試練に挑戦しています」
リィーネ:「このフィールドにいる以上は――って、思ってはいましたが・・・やっぱり、そうだったんですね?」
ノエル:「少し考えれば分かることだと思うんですけど・・・」
トオル:「おい、ノエルっ・・そんな言い方って―――」
ノエル:「なんで・・・私達を助けたんですか?」
俺の言葉遮るようにノエルが言う。

確かに・・・

このフィールドにいるのは"ときあい"を求める者・・・しかも、カップルならその確率はとんでもなく10割に近いはず・・・
なのに、なぜライバル的な俺たちを助けたのか?
誰もが疑問に思うことだ・・。


アルク:「確かに・・想像はつくね・・じゃあ、逆に聞くけど・・君達ならどうした?放っておいたのかい?」
ノエル:「うっ・・・・・」
トオル:「そ、それは・・・・・」
リィーネ:「もう〜アルクったら、二人を苛めないの」
アルク:「ハハ・・・そうだね、ちょっと意地悪が過ぎたかな?」
笑う二人。

やっぱ、どっか儚げな感じがする・・・。




そして・・・少しだけ長い話が始まった・・。





アルク:「僕たちの世界はね、人族とエルフ族が住む世界なんだ・・・そして、種族間で戦争をしている・・・」
トオル:「せ、戦争・・・」
話ののっけから重くなる・・。


リィーネ:「くだらない理由で、1000年以上も続いている種族間戦争・・・それがわたし達の世界の常識・・」
ノエル:「でも・・お二人は・・・」
・・・そう、二人は争っている種族同士。
そうか・・それで・・・
俺とノエルは納得していた。


アルク:「そう・・なんだ・・・・・僕らは、自分たちのいた世界から追放された・・・いや、自分達で自分の住む世界から出たんだ」
リィーネ:「・・・種族の裏切り者として、どこにも行く宛てのなかったわたし達の前に"クロケット"が現れて・・・そして、この世界に」
トオル:「クロケットが?」
ノエル:「アイツのやりそうなことね・・・」
ケロケロ笑うクロケットの顔が思い浮かぶ・・。

あのクソ蛙〜〜〜


アルク:「まあ、その出会いで"ときあい"のこと知り、僕たちはここにいるんだけどね」
リィーネ:「あなた方はどうしてと気合を求めているの?」
トオル:「え・・っと、それは・・・・・」
理由か・・・

よくよく考えたら、何で俺は"ときあい"が欲しいんだろう?

ノエルが欲しがっていたからだったはずだけど・・・


ノエル:「・・・私たちは"この上ない幸せ"を手に入れるために"ときあい"を探しているの」
アルク:「・・・"この上ない幸せ"ですか・・・・・・いいですね、それ」
リィーネ:「・・・・・私達も叶えたいね、"この上ない幸せ"・・・」
この上ない幸せか―――。


トオル:「・・・そうですね、お互いがんばりましょう♪」
ノエル:「・・・・・・・・・」
アルク:「・・・・・・・・・」
リィーネ:「・・・・・・・・」
あ、あれ・・・(汗

なんか、みんな呆れてるような・・・


アルク:「ぷっ・・くっくっく・・・」
リィーネ:「うふふ・・・」
ノエル:「もう〜〜〜トオルってばぁ〜・・・」
笑うアルクとリィーネ。

そして・・・顔を赤くするノエル。

俺・・・何か恥ずかしいセリフ吐いた?


ノエル:「ライバルにがんばりましょうって・・・もう、恥ずかしいヤツぅ〜・・」
リィーネ:「よろしいじゃないですか・・・私、好感が持てましたよ?」
アルク:「そうだね・・本当、お互いにがんばろう・・・悔いを残さないように・・・」
トオル:「はい!♪」
俺たちは顔合わせともに笑い会う・・。




こうして・・・吹雪の夜は過ぎていいった・・。







★★★あとがき★★★
どうも、なおふみん改め、AZです★
ときあい新章始まりました(^^
・・・と言うか、おまたせしてすいません(mT Tm
新たなキャラも増えるということで・・・"ときあい"の核心に触れていきます。
―――と言うか、終わりまで書くつもりですが・・・
さて次回は、"氷の国"の試練に立ち向かう話です。
どんな試練が待ち受けているのか・・・・・
それは、次回までのお楽しみ〜♪(^0^/

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